仏事について

お仏壇は、ある時には悲しみと共にあり、ある時には喜びと共にあり、 人々の過去、現世そして来世に寄り添う、家族みんなの心のよりどころです。
子供たちも幼い頃から、仏壇に手を合わす親の背中をみて、また共に日々のお参りをすることで、感謝の心、家族の絆を育みます。
うれしいこと、かなしいこと、そっと手を合わせてお仏壇にご報告してはいかがでしょうか。
お仏壇を安置する場所や方角、お仏壇を安置する場所については特に決まりはありませんが、家族そろって朝夕にお参りしやすい所であればよろしいのです。
居間、客間等出来るだけみんなが寄りやすい場所を選びたいものです。
お仏壇を安置する方位としては、正面を北に向けることを避けるのが一般的とされています。

設置例

上置仏壇

仏間のスペースがとれない場合、造り付けの棚や家具の上などに安置されてはいかがでしょうか。お仏壇の高さは、70 cm位までが適当です。

上置用仏間

上置用70㎝~90㎝。上置仏壇を安置するための専用スペースをとった仏間です。地袋もゆったりしていますので、経机、小物類が容易に収納することが出来ます。

地袋付仏間

新築、増改築の場合に最もポピユラーな仏間の安置例です。
仏壇の高さは、130 cm位までが適当です。

半間仏間

150 cm~173 cmまでの台付仏壇がご安置できます。
ごく一般的な安置例です。

仏間がない場合

お仏壇の専用スペースをとらず、茶の間や客間など畳の上に直接安置する例です。

四尺五寸仏間(幅広仏間)

このタイプの仏間は奥行をたっぷりとった一例です。
幅二尺五寸、高さは六尺クラスまでゆったりと安置することができます。

家具調仏壇の納入例

近年では、住宅事情の変化により、リビングルームにお仏壇をご安置されるようになり、 お仏壇も現代的なデザイン、家具調仏壇が増えてまいりました。


お位牌は、故人の霊が宿る依代(よりしろ)として戒名、没年月日、俗名、年齢等を記した札牌です。
お位牌には、葬儀の時に使用される白木の野辺位牌と、四十九日の忌明け後のお仏壇に祀られる本位牌があります。
本位牌には、漆を塗り金箔、金粉などで加飾した塗位牌と黒檀、紫檀などで作られた唐木位牌、伝統的な位牌から現代的なデザインの位牌までがございます。

野辺位牌

塗位牌

唐木位牌

本位牌は、四十九日までに作るのが一般的です。
四十九日とは、七七日(しちしちにち)のことで、死後の霊の行先が決まる日とされており、この日を境として白木位牌から本位牌に代えます。
仏教の死後観では、四十九日がひとつの境となります。
死後 7 日ごとに生前の罪障審判があり、7回目、つまり 49 日目の審判で次に生まれ出るところが決まります。
この 49 日間を中陰と呼びます。
ちなみに 35 日目(五七日)は閻魔大王のお裁きがあるため、初七日、四十九日と並んで五七日は重要な法要とされています。
四十九日は、7 日ごとの審判が終了するので満中陰ともいい、この間は、戒名も「新帰元」など文字をあてることが多い。
満中陰を過ぎ、亡き霊は新たに生まれ変わったのだから、依代である位牌も新たにします。

戒名は、戒名を受けた人の生前を偲ぶものとなっており、戒名からその人の人生や人となりが分かるようになっています。
お医者さんであれば、「医」の文字を入れたり、学校の先生であれば、「教」や「学」などの文字を入れたりします。
本来、戒名は、生きている間に戒を受け、仏教徒としての生活を送ることが理想ですが、現在では亡くなってから戒名を授けられるというのが一般的です。
仏教式葬儀では、僧侶によって引導が死者に対して渡されます。
「引導を渡す」とは、俗世間から浄土へと引き渡すことが本来の意味で、僧侶は亡くなった人を葬儀を通じて仏の世界、すなわち彼岸へと送り出す。
俗世間から離れ浄土へと生まれ変わった方につける新たな名前が戒名です。 (仏壇仏具ガイダンスより引用)


農耕民族である日本人にとって(お盆)は、(お正月)と並ぶ二大行事…。
(お正月)は歳神様を迎えて五穀豊穣を願い、(お盆)は祖霊をなぐさめる「魂祭り」だったのです。
また、お正月が稲作の祭事であるのに対して、(お盆)は、畑作物の祭事としての性格もありました。
ですから、お正月には餅を供え、お盆にはうどんやそうめん等、ちょうどこの頃にとれる小麦粉の加工品や、ウリ、ナス、キュウリ等、畑で採れた物を中心に供えます。
しかし、仏教が普及しますと仏事としての(お盆)が、日本に古くからあった「先祖の魂祭り」と密接に結びついて、仏教行事としての性格の方が強くなりました。
なお、(お盆)は、正しくは(盂蘭盆会)といい、古代インド語の「ウランバーナ」からきています。
意味は倒懸解(とうけんかい)といって、逆さ吊りからの救いを意味しております。
昔、お釈迦様のお弟子の目連尊者さんが、亡き母のあの世の様子を神通力で見たところ、餓鬼道に落ちて苦しんでいるのを知り、母がどうしたら救われるかをお釈迦様に尋ねたら、7月15日はお坊さんが百日の修行を終えて伝道に出る日だから、お坊さん方にご供養しなさいと教えられ、その通りにするとその供養の功徳によって母の苦しみは消え成仏することができました。
お寺様で、お盆の時期に多くおこなわれる施餓鬼法要の際、先祖の霊、新仏の霊に手厚い供養をしてくださいますので、今年新盆を迎えられる方は、是非足を運んでください。
お寺様によって、施餓鬼法要の時季は異なりますので、事前にご確認されるとよいとおもいます。

ご先祖の霊に供える食事は、原則として精進料理とし、季節の畑作物が中心。
特に欠かせないのが麺類で、その長さにのせて祖霊とのご縁が永く続きますようにというならわし。
また、仏さまは、丸いものがすきといわれ、ほおずきや団子、ぼたもち、枝豆、里芋、ナス等も供えます。
そして、仏さまが何人きても困らないように、柳の箸を三膳用意いたします。
お盆中、家族が食べる料理は土地によってまちまちですが、精進ものばかりとは限らず魚なども添えて盛夏を乗り切る体力食とします。

盆棚

新盆提灯

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盆提灯

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牛と馬

迎え火は、13日の夕方に玄関先で「ほうろく」の上で「おがら」を焚いて合掌し祖霊を歓迎します。
その際、祖霊に家の中へ入ってもらう為、牛と馬を家に向けて置き「おがら」を焚いている「ほうろく」の上を、外側から家側にまたいだりします。
送り火には、また「ほうろく」に「おがら」を焚き、迎え火の時とは逆に、牛と馬を外側に向け家側から外側へ「ほうろく」をまたぎます。

蓮に模った「盆花」は、お盆期間中盆棚に飾り、お盆がすんだ後もお仏壇に供える習慣がございます。
そして翌年のお盆にまた新しいものに取り替えます。

水の子とは、お皿か小鉢に「蓮の葉」を敷き、その上にナスとキュウリを賽の目に細かく刻み、それを洗ったお米と混ぜ合わせ盛ります。
閼伽水とは、清い水という意味で、小鉢にきれいな水を張ります。
その上に、みそはぎを添えて置きます。
※閼伽水(小鉢)に「蓮の葉」を敷いて、その上に水を張ることもあります。
お参りする方は、みそはぎを半紙で束ね、こよりで縛ったみそはぎを閼伽水に浸し、水の子に水を降りかけます。
これは、ナスの種を百八の煩悩にたとえ、その煩悩の火を水で消すとか、少ない食べ物を無限に増やす等様々な意味があるようです。

盆棚やお供え机の上にまこもを敷いて、その上に夏の野菜や果物を供えます。

十三佛掛軸は、初七日から三十三回忌までの追善供養、あらゆる仏事のための掛軸です。
「十王経」によると、初七日から始まり、百ヶ日、一周忌、三回忌までを「十仏事」と呼び、それぞれの仏事に対して罪を裁くことを司る王が当てられます。
その代表格が閻魔王です。
また、三回忌以降の七回忌・十三回忌・三十三回忌を含めて「十三仏事」と呼びます。
この十三仏事に対して亡くなられた方を守護してくださるのが、十三佛掛軸に描かれた十三に諸仏諸尊です。
そのため昔から、亡くなられた方を守護する十三佛掛軸が特にお盆の際に大切にされてきたのです。

初七日:不動明王(大日如来の化身としての使者です。怒の形相をして極悪人をも仏道に導き救済します。)
二七日:釈迦如来(お釈迦様として知られる仏教の始祖。知徳をつかさどる仏さまです。)
三七日:文殊菩薩(知徳をつかさどる仏様。獅子に乗っておられる姿が多い。)
四七日:普賢菩薩(白象に乗っておられ、寿命を延ばす福徳を与えてくださる仏様。)
五七日:地蔵菩薩(全ての人を苦しみから救済してくれる仏様。宝珠と錫杖を持っている姿が多い。)
六七日:弥勒菩薩(お釈迦様が入滅された後、仏様となってこの世を救ってくださる仏様。)
七七日:薬師如来(心身のあらゆる病を治してくださる仏様。薬壺を持っています。)
百ヶ日:観世音菩薩(さまざまなお姿に変身して苦悩から救い喜びを与えてくださる仏様。)
一周忌:勢至菩薩(智恵をつかさどる仏様。合掌するお姿。)
三回忌:阿弥陀如来(西方浄土におられる仏様。阿弥陀如来に念仏すれば極楽従来が約束されます。)
七回忌:阿閦如来(悪魔を打砕く仏様。災難を払ってくれます。)
十三回忌:大日如来(諸仏諸尊の根本である仏様。太陽のような(二十三回忌)大いなる智恵の光と不滅の慈悲を授けてくださる。)
三十三回忌:虚空蔵菩薩(無限の福徳をつかさどり諸々の願いを満たしてくださる仏様。右手に知徳の剣、左手に福徳の宝珠を持つ姿が多い。)


仏さまは、考えでも行動でも極端に走ってはいけない。
中道を守れと教えています。
お彼岸会とは、昼夜が平均し、気候も暑からず寒からずの中道の季節、春分、秋分の日を中心に前後3日間行われる一週間のことです。
我々のいる世界が此岸(しがん)で、仏の悟りの世界が彼岸です。
彼岸は、迷いの世界から悟りの世界へ至る教えです。
お釈迦さまは、我、人、ともに幸福になるには、六つの教え、布施(ふせ)、持戒(じかい)、禅定(ぜんじょう)、忍辱(にんにく)、精進(しょうじん)、智恵(ちえ)を実践するようにお示しになりました。
六つの教え(六波羅蜜)の内容は、

布施:物質であっても心であっても人に喜びを分け与えること。
持戒:規律を守り、節制ある生活を行う事。
精進:目的に向かってたゆまず努力すること。
禅定:常に平静な心をもちつづけること。
忍辱:心を動かさずに耐え忍ぶこと。
智慧:人生の真実を見極め、迷いを去って無上の境地にいたること。

お彼岸は、ご先祖さまへの感謝報恩のお寺参り、お墓参りの行事となり、一面では、わが身の修養にいそしむ仏教的な人格錬成週間ともいえます。